野球肘(外側型、内側型、後側型)

投球時または投球後に肘に痛みがでることを野球肘といい、外側型・内側型・後側型の3つの型に分類されます。

原因
● 内側型 …
肘の内側にある内側上顆には「内側側副靭帯」「手首と指を曲げる筋肉」が付着しており、投球動作に内側上顆に引っ張る力を発生させるため、「内側上顆炎」が発生します。また、内側側副靭帯には投球動作の際に非常に負担がかかるために、靭帯損傷することもあります。肘の内側にある尺骨神経に張力が働くと「肘部管症候群」になることもあり、小指側にしびれが発生します。
● 外側型 …
投球動作の際に、肘の外側部には「圧迫力(閉じるような動き)」が生じるため、その衝撃をダイレクトに受ける上腕骨小頭の軟骨が傷んでしまう「離断性骨軟骨炎」が発生します。また、症状が進行してしまうと関節遊離体(関節ネズミ)という骨のかけらのようなものが関節の中に現れ肘が曲げられなくなる(ロッキング)ことがあります。
● 後側型 …
投球動作の際に、上腕二頭筋の筋力、瞬発力、持久力が不十分なことが原因で、肘の後ろ(肘頭)に付着する上腕三頭筋の引っ張る力により肘頭と関節を作る骨とがインピンジメント(衝突)し、肘頭に炎症・骨折(骨端線離開)が発生します。
すべての型に共通して、肘へ負担のかかる投球フォームなどが主な原因として挙げられます。

〈 投球動作による肘にかかる負担 〉

投球動作による肘にかかる負担
野球肘が発生する位置と仕組み

特長と症状

三つの型に共通して、はじめは投球時にのみ痛みがあり、安静時には無痛か倦怠感がある程度です。筋肉、腱、靭帯、靭帯付着部の障害では鋭い痛み、関節内での障害では鈍い痛みを訴えます。症状が進行すると肘関節の可動域制限(ロッキング症状)が現れます。

  • ●内側型・・・投球時に肘内側に痛みがある小指側にしびれがある(ことがある)
  • ●外側型・・・投球時に肘外側に痛みがある肘関節の可動域制限(ロッキング症状)
  • ●後側型・・・投球時に肘後方に痛みがある肘関節の可動域制限(ロッキング症状)

当院での治療

成長期の野球肘の発生要因として、投球過多による筋肉の緊張過多と考えられるので、筋肉の緊張を取り、柔軟性をもたせた上で投球フォームを改善し、これに合わせてサポーターやバンテージを用いて「肘に負担のかからない状態」を目指します。そして、筋力や手首の使い方なども重要であるので正しい使い方を意識づけるのと、投球数の制限を行う必要もあります。

当院では治療から、投球動作の改善、予防法まで、専門的な知識をもって指導させていただきますので、野球肘でお悩みでしたら今すぐご相談ください。