腰部椎間関節性腰痛

原因

腰部椎間関節性腰痛の原因は、主に加齢による腰椎周辺の軟部組織(筋肉、靭帯、軟骨)の変性変化です。椎間関節は背骨にかかる圧力の30%を吸収しているとされ、圧力に関節が負けないよう、関節の周りを関節という袋で包み、さらに靭帯という強靭なバンドのようなもので補強されています。

腰部椎間関節性腰痛の原因

● 急性椎間関節性腰痛(ギックリ腰)

上記のように、もともと体重の30%の圧力がかかる関節なのですが、腰を強くひねったり、重いものを勢いよく持ち上げようとすると、急激に関節にかかる圧力が増し、関節包、靭帯が引き延ばされて捻挫を起こし、炎症が起きて激しい痛みを起こします。

● 慢性椎間関節性腰痛

上記のように、体重の30%の圧力がかかる関節なのですが、体重の70%の圧力を吸収するとされている椎間板という軟骨は、年齢とともに水分含有率が減り、形が徐々に変形していきます。椎間板の変形が進むと本来椎間関節にかかる圧力は30%でしたが、その比率が増え、関節にかかる負担が増し、軟骨が擦れ合って痛みを起こします。

特長と症状

● 急性椎間関節性腰痛(ギックリ腰)

  • 片側性(稀に両側)の腰の激しい痛み
  • 特に腰の下の方が痛むことが多い。
  • 背骨から2、3センチ外側の圧痛(椎間関節部)
  • 動くと激しい痛みが起きる(グキッとする)
  • おしりやももの外側にも反射性に
    痛みを感じる。(無い場合もあります)

● 慢性椎間関節性腰痛

  • 腰の下の方の痛み
  • おしり、ももの外側の痛み・重だるさ
    (無い場合もあります)
  • 朝起きるときに腰が痛い。
  • 前屈(前に身体を倒す)すると痛みがでる。

当院での治療

● 急性椎間関節性腰痛(ギックリ腰)

急性椎間関節性腰痛かどうかを調べるには、触診が一番大事です。患者様の腰を触診していくと、椎間関節部に椎間関節性腰痛特有の塊を触ることができます。患者様はその部分を押されると、「そこが痛みの元だ!」と感じるところです。
実はこの椎間関節部を的確に触診し捉えることはとても高度な技術を要します。私は、整形外科での勤務経験がある為、何人もの椎間関節性腰痛の患者様を診てきました。ですので、痛みの原因となっている椎間関節部を的確にとらえることができます。また、長年治療をしていると、ぎっくり腰の依頼が多く、椎間関節性腰痛の治療は私の最も得意な疾患の一つと言えます。
具体的な治療法として痛みの原因となっている椎間関節部にピンポイントで鍼もしくは超音波治療を施していきます。ここを治療することにより、椎間関節の消炎、鎮痛、血行改善により早期の症状緩和へとつながります。椎間関節の痛みをかばうために腰の筋肉、殿部の筋肉も筋緊張を起こしている事もあり、それらの筋の緊張緩和に治療をおこなう事もあります。

● 慢性椎間関節性腰痛

椎間関節の消炎、鎮痛、血行改善を目的に椎間関節部に鍼を刺入します。(慢性の場合、手技・機械治療ではあまり改善はみられません。)椎間関節をかばおうと周りの筋肉も緊張しているので、それらの筋の緊張緩和に鍼をすることもあります。
年単位で慢性化していても、短期間の治療で大分症状が緩和するのを体感して頂けます。

急性椎間関節性腰痛の治療の様子
慢性椎間関節性腰痛の治療の様子